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摩擦接合技術シンポジウム



終了報告



 

 地球環境にやさしい生産技術の開発と実用化は、今世紀の産業界に課せられた最重要命題であるといえます。
 摩擦現象を巧みに利用した「摩擦接合技術」は、省エネルギーかつクリーンな技術であるうえ、従来法では困難だった異種材料の接合が行えるなど、低環境負荷で高機能部材創製の可能性を秘めた新技術です。
 本シンポジウムでは、摩擦圧接や摩擦攪拌接合(FSW)、摩擦表面改質技術などについて、それらの基礎から応用まで専門分野以外の方々にも分かりやすくご紹介いただき、先端摩擦接合技術の現状と展開を一望するとともに、参加者らによる活発な議論が行われました。

  主 催 摩擦接合技術協会
  後 援 日刊工業新聞社
  協 賛 社団法人溶接学会東海支部/社団法人軽金属学会東海支部/
       社団法人日本機械学会東海支部/社団法人日本設計工学会東海支部/
       社団法人精密工学会東海支部/東海トライボロジー研究会/
       社団法人日本熱処理技術協会中部支部/独立行政法人産業技術総合研究所

 会 期 : 平成18年10月27日(金)
 会 場 : 名城大学天白キャンパス 11号館第1会議室
 
 参加者:約160名        (内訳) 摩擦接合技術協会会員・協賛団体会員 82名
一般参加者 62名、学生 十数名

特別講演
  「モノづくりは人づくり ー当社に於ける人づくりと職場力向上活動ー」
                             佐藤 則夫 氏 (株式会社豊田自動織機副社長)

 

 モノづくりのパフォーマンスを向上させるためには、競争力を高めることひいては「職場力」を高めることが重要である。職場力向上のためには3つの要素がある。一つは「専門技術・技能・ノウハウ」等の固有技術の向上である。2つめはTPS・QC・SQCなどの管理技術の向上すなわち「問題を発見して改善する力」「多層の力をまとめる力」を高めることである。3つめには職場の「チームワーク」「豊かな人間性」を育んでいかなければならない。このように職場力向上のためには、「腕と知恵と心」を兼ね備えた人材【π型人材】を育成していくことが肝要である。

「摩擦圧接の歴史と現状そして将来展望」
 ・摩擦圧接の歴史と現象および継手の性質   沖田 耕三 氏 (大阪産業大学)

 40年余にわたる摩擦圧接の歴史を振り返るとともに、摩擦圧接の接合機構や摩擦面の温度上昇など摩擦圧接に伴って生じる現象等について解説された。さらに接合界面の微細組織、衝撃特性に代表される継手の機械的性質に関する実験結果について紹介された。

 ・摩擦圧接機と継手の施工およびその応用
  石川 修 氏  (イヅミ工業株式会社)
  深谷 茂生 氏 (摩擦接合技術協会理事)

 現在の代表的な摩擦圧接機の仕様概要をはじめ、さまざまな継手形状とその施工法について紹介された。また、製品の品質保証に関して、品質保証項目の上限・下限値を設定して圧接結果を判定する品質保証装置や、非破壊検査法、超音波探傷法について解説が行われた。さらに、実際の摩擦圧接の応用事例として種々の製品が紹介された。

「FSWの現状と将来展望」   佐藤 裕 氏 (東北大学大学院)

 FSWの特長を従来の溶融溶接と比較して解説するとともに、鉄道車両や航空機体など様々な応用事例について紹介された。また、最近の研究成果として、機械的特性に悪影響を及ぼす可能性のある酸化皮膜の存在や、FSWにより接合された部材を後熱処理すると異常粒成長がおきる場合があるなど、今後検討すべき課題について報告された。

「摩擦を利用した表面改質技術」
  篠田 剛 氏  (前名古屋大学教授) 
  竹上 弘彰 氏 (名古屋工業大学)

 摩擦を利用した新しい表面改質技術である、摩擦肉盛法や摩擦内面コーティング法について、その特長と応用事例について紹介された。摩擦肉盛法は固相プロセスで、比較的厚い層の作製が容易に行えるうえ、基材の希釈がないため効率的に肉盛できる。また、摩擦内面コーティング法では、実際のアルミ合金製エンジンシリンダ内面にAl-Si合金をコーティングした事例などが報告された。


交流会






多数のご来場、まことにありがとうございました。
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